生物物理
Vol.32 No.3 (1992) : 45-51

 

耳のずれたフクロウ:聴覚空間認識の脳内機構

新技術事業団・さきがけ研究21および
理化学研究所・国際フロンティア研究システム・思考電流チーム
藤田一郎

 Barn owls localize sound most accurately among all animals. Studies on the brain mechanisms of their sound localization represent a case where many important questions in sensory physiology can be addressed in a straitghtforward way. This article will review our current understanding of how neurons in the owl's auditory system create their selectivity to position of sounds.

barn owl / sound localization / auditory receptive field / stimulus selectivity / GABA



神経細胞が感覚情報をどのように符号化し、表現しているかを追求する研究は、半世紀以上の歴史を経た。その間に得られた結論の一つは、「脳の感覚神経細胞は、ある特定範囲の刺激にのみ反応する」ということである。特定の感覚刺激に対する神経細胞の選択的応答性(刺激選択性)がいかに形成されるか。その複雑さと鋭さが、末梢感覚器から脳の奥へと進むにつれ、どのように変わっていくか。その変換のメカニズムは何か。そして、これらの細胞の活動と個体の感覚知覚の間には、因果関係があるか。これらの問いは、感覚生理学の重要課題である。
 本稿では、上記問題の研究例として、メンフクロウという鳥が音の来る方向を“算出”している脳内機構を述べる。1989年までの知見についてはすでに解説があるが、必要上、本稿の前半部で要約し、後半部でその後の進展を紹介する。

 

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