1部 基礎医学医療研究助成の部

下側頭葉皮質コラム構造の解剖学的基盤(基9-7) 

藤田 一郎 大阪大学医学部認知脳科学講座教授

 霊長類下側頭葉皮質TE野は,皮質表面に平行に走行する水平軸索の発達したネットワークを有しており,これがTE野内の離れた部位の間の相互作用を担っている。この水平軸索の起始細胞の分布とタイプを調べ,この相互作用の性質を探った。 逆行性神経軸索トレーサーを,TE野に微量注入(直径0.2−0.4mmで全層をまたぐような縦長の注入)することにより,注入部位に投射している水平軸索の起始細胞を標識してみると,これらの細胞は注入部位の周辺に10−20個のパッチ状の集団として現れてくる。このパッチ状細胞集団は,実際には2,3,5,6層にまたがるコラム状の構造をもっている。これら逆行性に標識された細胞に,蛍光色素を細胞内注入して,その形態を調べてみると,2,3層においては,ほとんどすべて(99%)が標準的な錐体細胞だが,5,6層においては,標準的錐体細胞は50%,非対称錐体細胞と紡錘細胞が40%,非錐体介在細胞が10%であった。 以上の結果は,TE野のなかで水平軸索を介する相互作用の多くがコラム単位で行われており,この領域が決して分散的構造になっているのではないことを示している。また水平方向の相互作用は,主に標準タイプの錐体細胞に担われていること,他のタイプの細胞の寄与は,2,3層と5,6層とでは異なることを示している。           

発表
1)Tanigawa H,Fujita I,Ojima H,Kato M:Cells of origin of horizontal axons in the monkey inferior temporalcortex.Abstracts for Fourth IBRO World Congress of Neuro−Science,468,1995

2)Fujita I:How are object images represented in the monkey brain?In:Nervous Systems and Behavior−Proc.4th International Congress of Neuroethology(Burrows M et al eds).p29,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,1995

3)Fujita I,Tanigawa H,Ojima H,Kato M:Neurons mediating horizontal interactions in the monkey inferior temporal cortex.Soc Neurosci Abstr(in press),1995

4)Fujita I:The warp and weft in the inferior temporal cortex.In:Emotion,Memory and Behavior−Study of Human and Nonhuman Primates(Nakajima T,Ono T eds),pp79−89, Japan Scientific Press,Tokyo,1995

5)Fujita I:Inferior temporal cortex:columns and horizontal axons.In:Physiology and Anatomy of the Association Cortices(Kubota K et al eds),Harwood Academic Publ(準備中)

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