脳21 4 (1): 90-92, 2001

全体の知覚、部分の知覚ー森を見て、木を見る
田中秀樹 科学技術振興事業団
藤田一郎 科学技術振興事業団 大阪大学大学院基礎工学研究科認知脳科学

 

SUMMARY
 物体視覚像は全体と部分からなる。日常、全体と部分の知覚が別のものであることを意識することは少ないが、一瞬一瞬、われわれはいずれかのレベルでの知覚を行っている。脳損傷患者の示す選択的傷害や脳イメージングの結果は、大脳皮質右半球が全体の知覚に、左半球が部分の知覚に主に関与することを示しているが、各半球のどの領域が全体や部分の知覚に選択的に貢献しているかは不明である。最近、われわれは、サルがヒトと同様の全体・部分の知覚を有している行動学的証拠を得た上で、サルに陽電子断層撮影(PET)法を適用し、図形全体の形態を弁別するときには下側頭皮質後部(TEO野)がより強く活動し、図形要素の形態を弁別するときには下側頭皮質前部(TE野)がより強く活動することを見いだした。