藤田一郎 (1992)「下側頭葉皮質のコラム構造」
文部省重点領域研究ニュースレター「脳の高次機能の計算論的および実験的研究」11:9-11.

哺乳類の大脳皮質視覚野の機能的コラム構造は,従来,1次元の刺激パラメータ(輪郭の傾き,入力の眼優位性,刺激の動きの方向)について示されてきた.では,高次元の情報,たとえば「形」は,同様の構築の中で処理されるのだろうか,それともまったく違った様式で脳の中に表現されているのだろうか.われわれは,サルを用いて,この問いに対する答えを求め,物体視に関わる視覚神経路の最終段である下側頭葉皮質前半部(以下,TE野と呼ぶ)が,機能的なコラム構造を持つとの結論にいたった(1).本稿では,まず,その証拠の要約と検討を行ない,続いて,TE野のコラム構造の機能的意義を考える.議論の最後には,「形」と,もう一つの高次元情報である「言語」とを対比し,物体像の脳内表現について想像をふくらませてみることにする.