実験医学 Vol.7 No.16 : 159-165, 1999
第4章 高次脳機能

視覚系による三次元面構造の復元

藤田一郎

 脳が行っている情報処理の多くが、不良設定問題(そのままでは、解を1つに定めることができない問題)の解決である。網膜像から三次元物体の面構造を復元する過程はその1つである。この過程で、ヒトは、一般像抽出原則と呼ばれる心理法則に沿って面を知覚する。最近、サルもヒトと同様に面の知覚を行っていることが示され、面構造復元の神経機構を電気生理学的に追求する道が開かれた。腹側視覚系路の終点で、ある下側頭葉皮質に、両眼視差情報が到達しており、一部の細胞が面の奥行き順序を伝えていることが明らかになった。