平成23年度  生物科学概論A (Cell Biology A)

担当教官     藤田一郎 (生命機能研究科・認知脳科学研究室)
            Ichiro Fujita (Laboratory for Cognitive Neuroscience)

対象:1年次   講義室:共A201

連絡先       基礎工学部J棟212室 (電話06-6850-6510)
            fujitaアットfbs.osaka-u.ac.jp (アットを@におきかえてください)

リンク       基礎工学部システム科学科生物工学コース

           認知脳科学研究室

           CREST藤田プロジェクト



入学おめでとう。この授業は、君たちが大阪大学で受ける最初の授業の一つです。私も情熱と責任感を持って授業にのぞみます。皆さんもがんばってください。授業は、高校で生物学を学ばなかった人にもわかるように話します。

何を学ぶか  この授業は「生物科学概論A」という名称ですが、生物学という広い学問を見わたすものではなく、生物を形成している基本単位である細胞と、細胞内・細胞間における分子相互作用について学ぶ「細胞生物学」「分子生物学」の入門講義です。細胞が生きていることが、いかにすばらしいしくみで営まれているのかを学びます。

教科書は、「Essential 細胞生物学」(中村桂子、松原謙一監訳、南江堂)です。全20章の前半10章360ページ分(!)を1学期、15回の授業で、超スピードでぶっとばしていきます。

この授業で君たちに学んで欲しいことは細胞生物学・分子生物学だけではありません。同じくらい大事なこととして、
   (1)生物学に関する英語を学ぶ
   (2)生きものや環境に対する興味・関心を育てる
   (3)大学でどう学ぶべきかを考える
の3つも目標にします。(1)については、各授業で、細胞生物学に関する英語ビデオクリップを見せます。ときには、ヒアリングや和訳を宿題とします。毎週、各授業に関連する最も基本的な英単語10−20個をリストしますので、次の週までに覚えてきてください。(2)については、折にふれて、生き物の話題や生物学・医学にまつわるその時々の時事問題について話します。また、キャンパス内における植物名のリスト提出などの課題をだします。(3)については、各授業の最後に、ひとつずつ、私から皆さんへのメッセージを送ります。そのうちの一つでも、君たちの心にひびき、有意義な大学生活を送るヒントになればと願っています。

私は、この授業を通して、君たちが高校生から大学生に脱皮することを手伝いたいと思っています。

どう学ぶか  どうやって、こんなに盛りだくさんの内容を90分の授業でこなすのか?最初の5分で英語小テスト、次の10分で前週の復習と質問への回答、それから75分の授業です。途中、分休憩を入れます。授業は、パワーポイントを使い、そのプリントアウトを配ります。ところどころ空欄があるので、それを埋めながら授業を聞いてください。論理的に話をしていきますが、パワーポイントにはすべてがいちいち、書かれているわけではありません。あとから、配布プリントだけを見ても、理解できないこともあります。「授業の時に頭を使いながら聞き、家に帰って、授業を思い出しながら教科書を1章ずつ読み進む。わからないことがあったら、次週に質問する。」ということをしてください。この授業のための勉強を週に3時間はしてください。教科書に書かれていることをただ伝えることが私の役目ではありません。もっとも大事なこと、未解決のこと、知識の背景、日常生活との関わりなどを話し、皆さん自身が勉強する意欲を引き出すことが私の仕事です。「知識は受身で教えてもらうのではなく自分で求めていくものである」「ディテールにとらわれず大局観とエッセンスを身につけることをめざす」ことを、大学に入ったのを機会に、よく肝に銘じてください。(注:ディテール<こまごましたこと>のおもしろさを否定するつもりはありません。)

約束  この授業を受けるにあたっては、以下の約束を守ってください。
   (1)授業に遅刻しない
   (2)机につっぷして眠らない
   (3)積極的に質問する(質問や議論をする能力は、研究の世界ではもっとも大事な能力の一つです。今から鍛えてください。授業をそういう場だと心得てください。質問は、教室のだれの迷惑にもなりません。それどころか、質問は、他の人にも頭の回転を要求し、授業を活発で楽しいものにします。授業の進行にも影響しません。質問がなかろうが20個でようが、時間内に予定の話を収めるのでご心配なく。生徒の質問は、教えるものにとっての最大の糧なのです。質問は、生徒だけでなく教師を育てます。)

成績評価(レポート提出のないものは試験を受験できない)
    学期末テスト(50%)
    レポート、小テスト(50%)
    不正行為は厳罰(事務より伝言)(レポートも他人のものを写したり、他人に写させてはならない)

期末テスト受験のためには、レポートをすべて提出している必要があります。皆さんが単位を落とさないようにさまざまな工夫をしているつもりですので、追試、追レポートはありません(忌引き、急病、事故をのぞき)。

では、半年間よろしく!!



〜授業アンケートのお願い〜
小テストの時にもお話しましたが、共通教育の授業アンケートへの回答をお願いします。
大学教育実践センターのページから回答画面へアクセスできます。
KOANからも可能です。


第1回 細胞(その1)
平成23年4月14日(木) 3時限

まとめ:

1.細胞(cell)は生物の体とさまざまな生命現象の基本単位である。
2.細胞は柔軟な膜(membrane)に包まれている。
3.様々な見かけや機能を持った細胞がある。
4.その化学的なりたちと機構には、おどろくべき共通性がある。今日、生存するすべての細胞は、遠い昔、始原地球で生じたたった一つの細胞に由来していると考えられる。
5.生物は、真核生物(eucaryotes)原核生物(procaryotes)の大別される。
6.真核細胞の中には、様々な機能的構造(細胞内器官=オルガネラ、organelle)が含まれている。

覚えるべき英単語:
biology(生物学), organism(生物), cell(細胞), evolution(進化), mutation(突然変異), membrane(膜), microscope(顕微鏡), gene(遺伝子), bacterium (bacteria)(細菌), virus(ウイルス), nanometer(ナノメートル), micromete(ミクロン、マイクロメートル), organelle(細胞小器官), eukaryote (eucaryote)(真核生物), prokaryote (procaryote)(原核生物), physiology(生理学), ecology(生態学), ethology(行動学), systematics(系統分類学)
今日の一言: 勉強しよう、積極的に。質問しよう、遠慮なく。
世界の総人口が100だったら、大学で学ぶ人は1人未満でしかない。君らは、その選ばれた1人未満に相当するのだ。このチャンスを活かし、大きな野望と夢を持って勉強しよう。授業中、授業後、どんどん質問しよう。質問は君らにとって一番、勉強になる。そして、教師をも育てる。それは、次の授業をよくすることにつながり、君らはよりいっそう良く学ぶことができる。

今日の宿題: 1.「Essential 細胞生物学」購入を強く推薦
         2.第1章を読む
         3.スライド26(Neutrophil chase)、27(chemotaxis)を和訳する。来週提出
          A4、氏名、所属、学籍番号を記す、お互いに写さない、写させない
         4.本授業HP指定の英語が書けるように。

配布物(PDF): 細胞(その1)(空欄あり)   細胞(その1)(空欄なし)
movieと書いてあるところは授業ではビデオクリップを上映します。
20110426追記:ビデオクリップをWebCTにもアップロードしました。

第2回 細胞(その2)
平成23年4月21日(木) 3時限

まとめ:

5.生物は、真核生物(eucaryotes)原核生物(procaryotes)の大別される。
6.真核細胞の中には、様々な機能的構造(細胞内器官=オルガネラ、organelle)が含まれている。
7.細胞生物学は、生物学(biology)のほんの一部にすぎない。
8.生物の分類体系:種ー属ー科ー目ー綱ー門ー界
9.生物の名前は二名法属名種小名)による。斜字体で表記する。

覚えるべき英単語:
今日の一言: 英語で自分の専門を語ることができるようにしよう
自分の専門とする学問を英語で学んでいない学生は世界では少数派。
英語で学ぼう。(英語を学ぶことも必要だが) 何か、これと定めた一つの科目、一つの本、一つの話題でよい。きっかけを自分で作る。

今日の宿題: キャンパスで見かけた植物(木本、草本)を30種以上リストせよ。
         キャンパス地図をプリントアウトし、その地図上に、見かけた植物の名前を記す。写真つきだとなお良い。
         正しい種名(和名)を記すこと。(松ではだめ。アカマツとかクロマツとか種を同定すること)

必須植物:  以下14種の樹木は必ず見つけ出すこと。
        イチョウ、エノキ、ケヤキ、クスノキ、ヒマラヤスギ、ソテツ、クヌギ、ソメイヨシノ、
        ウメ、キョウチクトウ、サツキ、ポプラ、タイサンボク、クロマツ
提出期限:  5月12日(木)の授業開始直前に教壇に提出。
方法:    A4用紙に。必ず、ホッチキス止めすること(クリップは不可)。氏名、所属、学籍番号を。4名までのグループ提出を勧める。
希望:    素敵なレポートを期待する。

配布物(PDF): 細胞(その2)(空欄あり)   細胞(その2)(空欄なし)

第3回 細胞の中の構造(細胞内器官:オルガネラ)を見る
平成23年4月28日(木) 3時限

まとめ:

1.細胞の中には1重膜でおおわれるオルガネラと2重膜でおおわれるオルガネラ(ミトコンドリアmitochondrion, -a葉緑体chloroplast)がある。
2.核には遺伝情報がDNA(デオキシリボ核酸)として収められている。
3.ミトコンドリアはATP(アデノシン3リン酸)を産生する。
4.葉緑体は光合成(photosynthesis)(水、二酸化炭素、太陽エネルギーを使って、酸素の発生と炭水化物の生成)を行う。
5.細胞質ゾル(cytosol)はさまざまな分子の混合物であり、重要な生化学反応の場である(ただの水じゃない)。
6.細胞内骨格(cytoskeleton)を形成する線維には3群。細胞の形、強度保持、細胞運動、細胞分裂に関わる。
7.小胞体(endoplasmic reticulum)ゴルジ体(Golgi body)は細胞外へ出す物質や細胞膜の生成や修飾(分子をつけたり、とりのぞいたり)を行う。
8.リソソーム(lysosome)ペルオキシゾーム(peroxisome)は不要物質の分解を行う。


ムラサキツユクサ。 Strasburgerが染色体の観察を行った植物である。
覚えるべき英単語:
nucleus (nuclei)(核), cytoso(細胞質ゾル) chromosome(染色体), chromatin(染色質), cytoplasm(原形質), mitochondrion (mitochondria)(ミトコンドリア), endoplasmic reticulum(小胞体), Golgi body(ゴルジ体), ribosome(リボゾーム), chloroplast(葉緑体), cytoskeleton(細胞骨格), nuclear envelope(核膜), microtubule(微小管), endocytosis(エンドサイトーシス), phagocytosis(貪食作用), respiration(呼吸), species(種)-genus(属)-family(科)-order(目)-class(綱)-phylum(門)-kingdom(界)

今日の一言: 君たち、私たちが、大阪大学を変える
今過ごしているこの場所を良くすることは、「どうせすごすならば、楽しい、充実した4年間を」ということ以上の大きな意味がある。
どんどん、提案や希望を大学(執行部)や教員や事務に届けること。

今日の宿題: 第2回で出題済み。次回(5月12日)提出。
配布物(PDF): 細胞の中の構造を見る(空欄あり)  細胞の中の構造を見る(空欄なし)

第4回 細胞の化学成分
平成23年5月12日(木) 3時限

まとめ:

1.細胞も、非生物と同じ化学と物理の法則に従う。(注:神経細胞の電気活動がどうして「心」を生み出すのかの化学・物理的説明は存在しないが)
2.細胞をつくる主な4元素は、C,H,N,Oで、全質量の97%を占める(地殻とは大きく異なる)。
3.細胞は70%は水(H2O)である。残り30%のほとんどは巨大分子(タンパク質、核酸、脂質、多糖)である。
4.これら巨大分子は構成単位の脱水縮合で作られている。
  アミノ酸   (amino acid) −−−>  タンパク質      (protein)
  ヌクレオチド(nucleotide) −−−>   核酸(DNAとRNA) (nucleic acid)
  単糖     (monosaccharide)−−−
> 多糖類      (sugar)
  脂肪酸   (fatty acid) −−−>  
脂質          (lipid)
5.巨大分子は、その構成単位とは異なる見事な特性を持つ(5回目以後の授業での主要な話題)
6.巨大分子の多様性は、その構成単位の配列がさまざまであることによる。
7.巨大分子は折りたたまれて独特の立体構造(conformation)をとり、その構造は機能的に大きな意味を持つ(5回目以後の授業での主要な話題)。


核をDAPIと呼ばれる青い色素でそめたラットの大脳皮質の神経細胞。その内の一つにルシファーイエローと呼ばれる黄緑色の蛍光色素を注入しているところ(生物工学コース4年生、小賀智文君の実験)

覚えるべき英単語:
atom(原子), molecule(分子), ion(イオン), molecular weight(分子量), proton(水素イオン), electron(電子), monomer(モノマー、単量体), polymer(ポリマー、重合体), macromolecule(大型分子), sequence(配列), ribonucleic acid (RNA)(リボ核酸), deoxyribonucleic acid (DNA)(デオキシリボ核酸), amino acid(アミノ酸), protein(タンパク質), fatty acid(脂肪酸), lipid(脂質), sugar(糖), hydrolysis(加水分解), condensation(濃縮)  (今回は化学の言葉が多いですが、どれも基本的なものです)
今日の一言: 講義をきっかけに自分で勉強してくれ
●私自身の経験として、一番感謝している先生は、わかりやすく教えてくれた先生ではなく、興味を引き出したり、「この人、何言ってんだ?」と疑問をもたせてくれたり、「こんな人もいるのかあ?」と思わせてくれた先生である。それをきっかけに勉強したことがもっとも楽しかったし、もっとも身についている。
●ある人いわく「大学の授業は教師を観察する場所。教師の言うことを覚えるところではない」
●教師の責任逃れに聞こえるかも知れない。。。わかりやすい授業、おもしろい授業にするできる限りの努力はするが、君たちが自分で勉強しなければ意味がない。責任逃れにならないように、わかりやすい授業、面白い授業をめざした最大限の努力を私はします。しかし、君たちが自分で勉強しなくては何の意味もありません。

今日の宿題: なし

配布物(PDF): 細胞の化学成分(空欄あり) 細胞の化学成分(空欄なし)

第5回 復習テスト
平成23年5月19(木) 3時限
13時10分開始予定(13時に着席)
持ち込み可
教室はいつも通りです

第6回 エネルギー、触媒、生合成
平成23年5月26日(木) 3時限

まとめ:

1.生物は、常にエネルギーを取り入れて秩序(形態の維持、成長、生殖)を保つ。
2.生物界へのエネルギーの源は太陽エネルギーである。(太陽からの光エネルギーが、光合成により、化学結合エネルギーに変換される)
3.細胞内での化学反応は、それぞれに特有の酵素enzyme)が触媒する。
4.異化反応(catabolism)は食物を分解しエネルギーを取り出す反応であり、同化反応(anabolism)はエネルギーを使って複雑な分子を作る反応である。
5.化学反応は宇宙全体の乱雑さが増す方向にしか進まない。(熱力学第二法則
6.活性型運搬体分子activated carrier)が、エネルギー的に起こりにくい反応と起こりやすい反応との共役に働く。

覚えるべき英単語:
diffusion(拡散), hydrolysis(加水分解), entropy(エントロピー), activation energy(活性化エネルギー), activated carrier(活性型運搬体分子), reduction(還元), oxidation(酸化), catalyst(触媒), enzyme(酵素), substrate(基質), coupled reaction(共役反応), free energy(自由エネルギー), metabolism(代謝), catabolism(異化反応), anabolism(同化反応), equilibrium(平衡)
(今回も化学の言葉が多いですが、どれも基本的なものです)
今日の一言: 君らのすぐ横までカルトの手はのびてきている
彼らはボランティア活動やサークル活動であるとして、本性を偽って低学年生に接近し、入会させています。夏休みまでは、みかけはすばらしいボランティア活動(例:地元商店街の活性化、千里川の清掃、小学校でのボランティア)を行い、注意深く活動します。夏合宿で、そうして集めた学生をカンヅメにして一気に洗脳する方法をとります。
今日の宿題: なし
配布物(PDF): エネルギー、触媒作用、生合成(空欄あり)  エネルギー、触媒作用、生合成(空欄なし)

第7回 細胞が食物からエネルギーを得るしくみ
平成23年6月2日(木) 3時限

まとめ:

1.食物分子は4段階で分解される。
消化 digestion(消化器官)― 解糖 glycosis(細胞質)― クエン酸回路 citric acid cycle (ミトコンドリアマトリックス)― 酸化的リン酸化 oxydative phosphorylation (ミトコンドリア内膜)
2.解糖は酸素分子を要しない。グルコースglucose1分子が三炭糖のピルビン酸2分子に分解され、少量のATPとNADHを生成する。
3.クエン酸回路は酸素を要する。ピルビン酸がアセチルCoAとC
O2にかわり、アセチルCoAのアセチル基がクエン酸回路によりCO2とHOに変わる。。酸化反応で放出される酸化エネルギーは、NADHとFADH2の高エネルギー電子として蓄えられる。
4.NADHとFADH2の高エネルギー電子は、ミトコンドリア内膜にある電子伝達系electron-transport chainに渡される。電子伝達系では、電子が次々に転移されることによりATPが合成される。この過程を酸化的リン酸化oxidative phosphorylationと呼ぶ。
5.このとき働くATP合成酵素(ATPエース)の構造、機能について驚くべきことが判っている(プロトンの濃度勾配エネルギーを利用して、酵素の一部に回転が起き、その回転によって引き起こされた分子別部分の変形がADP+リン酸ー>ATP反応に関わっている。CGを見せます。

第1版Essential 細胞生物学では4章に記載されていた今回の授業の内容は、第2,3版では13章にまとめられています。

化学同人社より「「見る」とはどういうことかー脳と心の関係をさぐる」(DOJIN選書007、藤田一郎著)が出版されました。見るというできごとにまつわるとてつもなく不思議なできごとの数々を見ながら、脳と心、意識と行動、脳科学とふだんの生活、ヒトとロボットなどについて考えます。
授業で考察したように、すべての生命現象が物理と化学の法則に従うとするならば、心のできごとも細胞の中での物理化学現象で説明できるはずです。それは本当でしょうか。どうすれば、この問題にアプローチできるでしょうか。ごく一般的な話題から出発し、本の中の絵や写真を見て実体験しながら、脳科学の最先端まで皆さんを連れて行きます。

第7回授業の内容をふくんでいます。購入をお勧めします。
覚えるべき英単語:
glycosis(解糖), cytric acid cycle(クエン酸回路), glycogen(グリコーゲン), glucose(ブドウ糖、グルコース), oxidative phosphorylation(酸化的リン酸化), electron-transport chain(電子伝達系), digestion(消化)
今日は覚える単語は少ないですが、専門的な言葉が多いので、がんばって覚えてください。

今日の一言: 英語の本を読もう。もちろん、日本語もね。

今日の宿題: なし
配布物(PDF): 細胞が食物からエネルギーを得るしくみ(空欄あり) 細胞が食物からエネルギーを得るしくみ(空欄なし)

第8回 特別講義(認知の脳科学)
平成23年6月9日(木) 3時限
今回は細胞生物学から離れて、講師 藤田 一郎の研究分野である視覚の認知脳科学についてお話します。

配布物(PDF):


第9回 タンパク質
平成23年6月16日(木) 3時限

まとめ:

1.タンパク質の3次元構造は、そのアミノ酸配列により、ほぼ決まっている。
一次構造(アミノ酸の配列順序)、二次構造アルファコイルベータシート)、
三次構造(3次元立体構造)、四次構造(サブユニット構成と配置)

2.タンパク質は、さまざまな機能を持つ多くの種類がある(ヒトでは〜3万)。
3.ダイナミックな機能は、タンパク質の3次(立体)構造(conformation)の変化により、もたらされる。例)酵素の活性調節、シグナル伝達、モータータンパク質
4.ゲノム研究の次のターゲットとして、タンパク質の構造と機能の網羅的追及(プロテオミクス)に、世界中がとりくみ始めている。(阪大は、タンパク質研究にすばらしい歴史を持ち、現在も非常に強い)


生物工学コース中岡保夫助教授よりいただいたゾウリムシ。属名はParamecium。細胞体周囲に繊毛が生えているのがわかる。繊毛の運動を担っているタンパク質はチュブリンとダイニンだ。

覚えるべき英単語:
polypeptide(ポリペプチド), antigen(抗原), antibody(抗体), receptor(受容体), ligand(リガンド=>受容体に結合する分子のこと), motor protein(運動タンパク質), allosteric(アロステリック), globular protein(球状タンパク質), fibrous protein(線維状タンパク質), subunit(サブユニット), GTP-binding protein(GTP結合タンパク質), protein kinase(プロテインキナーゼ、タンパク質リン酸化酵素), protein phosphatase(タンパク質分解酵素), phosphorylation(リン酸化), protein domein(タンパク質ドメイン), protein family(タンパク質ファミリー), secondary structure(2次構造), α-helix(αらせん), conformation(立体構造)

今日の一言: 大阪大学を知ろう 
授業ではたびたび、日本の研究者、とくに阪大の研究者たちの紹介をしている。
君たち自身がどのような系譜の中にいるのかを知ることはとても大事なことだ。
君たちの目の前にいる何人かの教師たちは、君たちの人生を左右するような人たちかも知れない。
あるいは、後年、大学時代を思い出してみて、ああっ、大学生当時、こんな人がいたのか、ついに会わなかったなあなどと後悔しないよう。

今日の宿題: なし
配布物(PDF): タンパク質の構造と機能(空欄あり)  タンパク質の構造と機能(空欄なし)

第10回 DNAの構造と複製
平成23年6月23日(木) 3時限

まとめ:

1.遺伝情報は、DNA中の塩基配列として符号化されている。
2.DNAは逆向きの2本のポリヌクレオチド゙鎖がらせんに巻いた構造(double helix)をしている。
3.DNA二重らせんそれぞれが鋳型となって、相補鎖が合成される。この過程を、複製 (replication)という。
4.メカニズムの詳細がわかっている。(詳細についても理解しておこう)。
  (1)DNA合成は複製起点(replication origin)から始まる。
  (2)複製装置がDNAのらせんの二本鎖を開く。開くところのY字型構造を複製フォーク(replication fork)と呼ぶ。
     複製フォークは複製起点から両方向に2つできる。
  (3)DNAヘリカーゼ(DNA helicase)が二本鎖を開く。(その構造生物学的理解については、ビデオクリップを見る)
  (4)DNAポリメラーゼ(DNA polymerase)が、もとの鎖を鋳型にして、相補的な塩基をもつヌクレオチドを付加することで、
     新しいDNA鎖を作る。
  (5)DNAポリメラーゼは、3’末端にしかヌクレオチドを付加することができない。
  (6)(5)の性質のため、1本の鎖(リーディング鎖 leading strand)ではDNAは連続的に複製され、もう1本の鎖
     (ラギング鎖 lagging strand)では、不連続的に岡崎フラグメント(Okazaki fragment)と呼ばれるDNA断片を複製・付加していく。
  (7)DNAポリメラーゼは直前に付加したヌクレオチドが誤っている場合に校正してから次のヌクレオチドを付加する。
  (8)DNAポリメラーゼは、すでにあるヌクレオチドに新しいヌクレオチドを付加することはできるが、
     まったく新しくDNA鎖をつくり始めることができない。では、どうやって、DNAの複製を開始することができるかというと、
     まず、10ヌクレオチド程度の短いRNA鎖が作られ、それにヌクレオチドを付加うする形でDNAポリメラーゼは働くのである。
     この短いRNA断片のことをDNA合成のプライマー(primer)と呼ぶ。
  (9)リーディング鎖では複製起点で1回だけプライマーが必要だが、ラギング鎖では、岡崎フラグメントの開始位置に絶えず
     新しいプライマーが必要である。
  (10)後に、RNAプライマーはDNAに置き換えられる。

5.DNAの複製のあやまりや損傷を修復する機構がある。
6.DNAに起こった変化が変異の原因となる。DNA複製の誤りの頻度はDNAポリメラーゼによる誤対合の修復なしでは10の7乗回に1度、
  誤対合の修復を経たあとは10の9乗回に1回程度である。

覚えるべき英単語:
base pair(塩基対), genome(ゲノム), gene(遺伝子), complementary(相補的な), template(鋳型), DNA repair(DNA修復), DNA replication(DNA複製), double helix(2重らせん), mutation(突然変異), lagging strand(ラギング鎖), leading strand(リーディング鎖)

今日の一言: 英語を勉強しよう
以前、英語で専門を勉強しようと言った。今回は、「英語を勉強しよう」とあえて言う。
・目標を作って。(たとえば、TOEIC >700)
・上級者への推薦書ーマーク・ピーターセン
 「日本人の英語」岩波新書
 「続日本人の英語」岩波新書
 「心にとどく英語」岩波新書

今日の宿題: なし

配布物(PDF):DNAの構造と複製(空欄あり)  DNAの構造と複製(空欄なし)


6月30日(木)3時限の講義は、出張のため休講です。

第11回 DNAからRNAへ(転写)
平成23年7月7日(木) 3時限

まとめ:

1.あらゆる細胞で遺伝情報はDNAー>RNA−>タンパク質という流れを示す(この原理は、分子生物学のCentral Dogmaと呼ばれる)。
2.DNAの持つ遺伝情報がRNAやタンパク質に変換されることを、遺伝子の発現(gene expression)という。
3.DNAの遺伝情報を発現する最初の段階は、遺伝子の塩基配列をRNAにコピーする転写(transcription)である。
4.転写を触媒するのはRNAポリメラーゼである。DNA上の転写開始位置は、その直前(すぐ上流)にある特別な塩基配列プロモーターがRNAに知らせる。転写の終了位置は、ターミネーターが知らせる。
5. RNAの構成糖はリボースであり、塩基はT(チミン)のかわりにU(ウラシル)が使われており、また1本鎖である点でDNAと異なる。
6.DNAの中には、遺伝子として情報を伝えている領域と、そのような情報を伝えていない領域がある。また、遺伝子として機能している領域の中に、タンパク質の配列を指定するのに使われるコード領域(エキソンexon)と、その間をうめる長い非コード領域(イントロンintron)が存在する。
7.転写においては、エキソンもイントロンもコピーされ、一次転写産物(primary transcript)が作られる。
8.一次転写産物は、」(1)5’末端に 5’キャップ構造を付加する、(2)3’末端をポリアデニル化する、(3)イントロンを除去する(スプライシング splicing と呼ぶ過程)の3つの処理(RNA processing)がほどこされ、メッセンジャーRNA(mRNA)となる。mRNAは核から細胞質へ移動する。

覚えるべき英単語:
RNA splicing(RNAスプライシング), RNA processing(RNAプロセッシング), genetic code(遺伝コード、遺伝暗号), primary transcript(一次転写産物), intron(イントロン), exon(エキソン), codon(コドン), transcription(転写), promoter(プロモーター)

今日の一言: 古今東西に想いをはせる 
世界は、君の住んでる場所から半径2kmでもなければ、2000kmでもない。
この1、2年、生まれてからの20年弱でもない。
X,Y,Z,t方向にはるかに広い。

遠い昔のこと、これからずっと先のこと、地球の裏側のこと、宇宙のかなたのこと、
ナノメートルの世界のこと、まったく違う人生を歩んでいる人たちのこと。。。。。

今日の宿題: なし

配布物(PDF):DNAからRNAへ(空欄あり) DNAからRNAへ(空欄なし)


第12回 復習テスト
平成23年7月14日(木) 3時限
13時10分開始予定(13時に着席)
持ち込み不可
教室はいつも通りです

7月21日(木)3時限の講義は、出張のため休講です。

第13回 RNAからタンパク質へ(翻訳),遺伝子とゲノム,まとめ
平成23年7月28日(木) 3時限

まとめ:

1.mRNAの塩基配列に基づいてタンパク質を合成することを翻訳(translation)と呼ぶ。
2.翻訳は、細胞質内のリボソーム(RNAとタンパク質の複合体)で行われる。
3.mRNAの塩基配列は、塩基3個ずつの組(コドン codonと呼ぶ)として読み取られ、1つのコドンが1つのアミノ酸、または翻訳の開始、または翻訳の停止を指示する。
4.コドンがどうアミノ酸を指定するかが、遺伝コード genetic code の本体である。RNAは4種類の塩基(A,U,G,C)を持つので、そこから3個を選ぶ組み合わせは64(4x4x4)通りある。一方、生物が用いているアミノ酸は20種である。アミノ酸のほとんどに対して2個以上のコドンが存在する。すなわち、一つのアミノ酸を指定する同義コドンが存在する。
5.コドンと相補的な塩基対(これをアンチコドン anticodon と呼ぶ)を持つトランスファーRNA(tRNA)がmRNA上のコドンと結合する。それぞれのアンチコドンをもつtRNAは対応するアミノ酸を結合している。tRNAにアミノ酸を結合させるのはアミノアシルtRNA合成酵素である。
6.mRNAの開始コドン(AUG)にリボソームが結合すると、タンパク質合成が始まる。この過程は、開始因子とよばれる複数のタンパク質に調節されている。
7.細胞内においてタンパク質は作られるだけでなく、精密な制御のもと、分解も行われている。一部のタンパク質は、プロテアソーム(proteasome)と呼ばれる超大型のタンパク質複合体(処理工場)によって細胞質で分解される。
8.生命は、自己再生可能なRNA分子(リボザイム)を出発点として進化した。


奄美大島の海岸で拾った貝殻とサンゴのかけら。大阪湾には350−400種の貝が住むと聞いた。
覚えるべき英単語:
anticodon(アンチコドン), proteolysis(タンパク質分解), translation(翻訳), reading frame(リーディングフレーム), ribozyme(リボザイム), ribosome(リボゾーム), proteasome(プロテアソーム)

今日の一言: 明快な言葉と論理で自分の主張を述べよ
●明快な言葉使いをすることは、誰のためでもない、自分のためである。明快にものごとを語ることで初めて、
  論理的な思考や建設的な議論ができる。論理は、一語一語の正確さに依存していることを忘れてはならない。
●一言の不正確または不適格な言葉使いに、話者の思考・信条・性格の危うさが現れる。
●「明快な言葉と論理で自分の主張を述べる」ことは、大学にいる間に君たちが身に着けなくてはならない最優先事項の一つだ。

今日の宿題: なし

配布物(PDF) : RNAからタンパク質へ(空欄あり)  RNAからタンパク質へ(空欄なし)