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ディスレクシアとは

大阪大学 基礎工学部システム科学科
生物工学コース 2年
吉田宗生
2009/03/27初出

はじめに

ディスレクシア。麻生首相の一連の誤読に関連してその名を知った人も多いのではないでしょうか。元は英語でdyslexiaと書きます。日本語では、失読症や難読症、読字障害などと言われています。これらをみると何となく感じは掴めますが、ここではもう少し詳しく見ていこうと思います。


ディスレクシアとは

定義
学習障害(Learning Disorders)の一種で、知的能力には何ら問題がないのに読むことや書くことに困難さを示します。英語圏では人口の10%、日本語でも5%はいるとされています。1)2)
又、発達性ディスレクシアとも言われます。これは、後天的な脳へのダメージによる失読症を医学的にディスレクシアと呼ぶためです。尚、ここでは発達性ディスレクシアについて述べていきます。

初出
1896年のBritish Medical Journalや1895年のLancetの中に現在、発達性ディスレクシアとして知られる症状についての記述があります。3)4)

原因/メカニズム
まず、はっきりとした原因はまだ分かっていません。現在も研究中でどうやら色々な要因があるようです。ここではその内の一つを紹介します。脳が言葉をどのように処理しているかという興味深い話についてです。
言葉の処理システムは、それぞれが言葉の特定の面の処理をなすモデュールやコンポーネントのヒエラルキーとみなせます。上位レベルでは、意味や構文、文章といったものを処理し、下位レベルでは音素を処理します。そしてこの音素というのは、言語システムの基礎部分なのです。単語が認識されるには、まず音素に分解されなければなりません。話言葉では、この音素分解は無意識かつ自動的になされます。自然に覚えるともいえます。しかし、読むことはそうではありません。意図的に訓練しなければいけないのです。まず、文字と自分が身につけた音素とを対応させなければなりません。この段階を経て、読めるようになっていきます。こういった処理のことを音韻的処理といいます。5)また、読むことに慣れてくると文字から直接意味を理解することができるようになります。これを正字法的処理といいます。


引用元[Sally E Shaywitz. Dyslexia. Scientific American Nov 1996]



ディスレクシアの原因は、この音韻的処理や正字法的処理に問題があるからではないかといわれています。他にも、視覚や聴覚からアプローチしているものもあります。 ちなみに、音声言語(話し言葉)の起源は約50,000年前頃まで遡れますが、読み書きの歴史はよくて5〜6,000年といったところです。話し言葉に比べてあまりに短い歴史故、脳が十分に対応し切れていないとも言えるのです。


悲嘆する必要はない
さて、ディスレクシアだからといって悲しみにくれる必要はありません。もちろん、勝手に治ることはありませんが、適切な理解と援助があれば彼、彼女らは自身の才能を十分に発揮できます。そう、ディスレクシアの人達にはえてして幅広い才能を持つ人が多くいるのです。例えば、ウォルト・ディズニーやエジソン、かのレオナルド・ダ・ビンチもディスレクシアとされています。8)


対策
アメリカやイギリスではマクロにかなりの対策がとられていて、理解もあるようです。対して、日本ではまだそれほどではないようです。
ところで、現実問題としてどうすればいいのでしょうか。生憎と私は専門家ではないので、以下に役に立ちそうなページのリンクを挙げておくことにします。
http://www.normanet.ne.jp/~zenkokld/soudan2005.htm -全国の診断・相談機関一覧
http://www.todoplan.co.jp/LD/ -LDについての様々な情報が載ってます。
http://www.npo-edge.jp/ -ディスレクシアの正しい認識と支援のためのNPO


結論

ここでは述べませんでしたが、一口にディスレクシアといっても様々な症状があるようです。それは一人一人違うといってもよい程だそうです。しかし、やはり体系化は必要だと思います。つまり、情報の共有をすることでより良い結果が(特に教育において)得られるのではないでしょうか。これは、ディスレクシアの人にもそうでない人にもいえると思います。
また、このページの作成を通して、脳が言葉という実に身近な存在をどのように処理しているのかについての一端を知ることができました。実に面白く、これからも脳についての興味は尽きることがないと感じました。


参考文献
1. NHKスペシャル「病の起源 第四集 読字障害〜文字が生んだ病〜」http://www.nhk.or.jp/special/onair/081012.html
2. Dyslexia in Japan http://www.dyslexia-parent.com/z118.html
3. Morgan WP. A case of congenital word blindness. Brit Med J 1896
4. Hinshelwood J. Word blindness and visual memories. Lancet 1895
5. Sally E Shaywitz. Dyslexia. Scientific American Nov 1996
6. Russell D. Gray and Quentin D. Atkinson. Language-tree divergence times support the Anatolian theory of Indo-European origin. Nature 426, 435-439 Nov 2003
7. JEAN A. The seed of speech: Language and evolution’Cambridge. Cambridge University press 1996
8. http://www.dyslexia-test.com/famous.html



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