霊長類下側頭葉皮質における視覚情報処理

CREST シンポ1998

視覚系は、多様な形態を持つ無数の物体を区別し、照明条件や視点の変化によらずに物体を同定し、しかも、これらの仕事を2次元網膜像を元に行っている。われわれは、脳における物体像の表現は、物体を単位としてではなく、物体の部分的特徴を単位として行われていることを提案してきた。サル大脳皮質で、物体認識に必須である下側頭葉皮質TE野の細胞は、個々の物体ではなく、その物体が含む形、色、きめなどの部分的特徴に反応する。似た反応特性を持つ細胞が集まりコラム構造を形成することが、麻酔サルおよび覚醒サルにおいて確認され、また、その機能的特徴を反映していると思われる解剖学的基盤が見いだされた。さらに、われわれは、TE野細胞が、両眼視差の情報も処理しており、それら細胞の一部が、面の奥行き構造を伝えていることを見いだした。一次視覚野からTE野への経路は、網膜像から3次元の面の奥行き構造の復元に関わっていると考えられる。


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