サル下側頭葉皮質における視差選択性細胞と奥行き知覚

視覚科学フォーラム

1997年822日〜24日 岡崎カンファレンスセンター

宇賀貴紀、田中宏喜、加藤誠、藤田一郎

 水平両眼視差は、奥行き知覚のための重要な手がかりである。今回我々は、サル下側頭葉皮質(IT)細胞の約半数が、視差に選択性を示すことを見いだした。これらの細胞は、図形に対する選択性も保持しているので、IT細胞は形と視差の情報を統合することにより、ある形がどの奥行きにあるかを伝えることができる。さらに、十字に視差を与えると、視差の与えられる位置により、視差情報と知覚される表面構造との関係が反転することを用い、視差選択性を示す細胞が、与えられた視差そのものを反映しているのか、知覚される表面構造を反映しているのか調べた。その結果、ITの視差選択性細胞の約半数は、図形に与えられた視差を反映するものの、残りの細胞は、視差の付加された位置を区別し、知覚される表面構造を反映することが見いだされた。これらの細胞の活動は、知覚される2次元構造や視差情報そのものでは説明できないので、知覚される表面と、その相対的奥行き関係を記述している可能性が最も高い。ITは、これら2種類の視差選択性細胞の組み合わせで、注視点に対する3次元表面構造の情報を伝達していると考えられる。


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