大阪大学神経科学懇話会 1993.6.1


下側側頭葉皮質のコラム構造

藤田一郎
新技術事業団さきがけ21および理化学研究所フロンティア研究システム

サルの下側頭葉皮質TE野は、物体視に関わる神経経路の最終段に位置する。したがって、TE野における神経細胞の性質とその配列の様子は、脳における物体像の最終表現を反映しているはずである。われわれは、最近、この領野が、平均直径0.4ミリのコラム状構造から成ることを示す証拠を得た(Nature, 360: 343-346, 1993)個々のコラムは、似た、しかし多くの場合、わずかに異なる図形特徴に応じる細胞を含んでいる。例えば、一つの細胞が、T字型に応じ、そのすぐとなりの細胞はY字型に応じる。すなわち、これらの細胞は、「線分の交わりに応答する」という共通の性質を持つが、交わりの角度に対する感受性は異なる。本セミナーでは、TE野がコラム構造から成ることの証拠を吟味するとともに、この構造の機能的意義・解剖学的基盤・時間的安定度を議論したい。