脳が“形”を見るメカニズムを覗く

 われわれは、この世に存在する、ほとんど無限といって良い数の物体や図形を弁別し、認識することができる。対象物が何であるかを認識する際には、今、見ている視覚像を、生得的に備えているか、もしくは学習により獲得し、脳に蓄えている情報とを照合している。この視覚像を記憶に蓄える際にも、また、視覚像と記憶痕跡とを照合する際にも、対象物のもつ図形特徴の詳細な分析を脳は行なわなくてはならない。脳のどの部位がその仕事をするのか。その経路で、「形」の情報はどのように抽出され、表現されているのか。脳のどのような構造がそれらの情報処理の基盤となっているのか。これらの問題に対して、神経科学が到達している現状と研究の問題点を解説する。


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