第59回日本生化学会(大阪)1986.9.23

生化学 vol.58(8):1067.


「PGD2の睡眠誘発作用(サルでの検討)」 

尾上浩隆、上野隆司、早石修、長間弘宣、藤田一郎、西野仁雄、大村裕
(新技術開発事業団、*生理研)

我々は、脳内の主要PGであるPGD2が、強力な睡眠誘発作用を有していることを見いだして以来、本物質が脳内において睡眠調節物質としての特性を数多く備えていることを承示してきた。しかし、これまでの実験は全てラットを用いてなされており、PGD2の睡眠誘発作用が種を越えて発現されるか否かは、明らかではなかった。そこで、今回実験動物として、三匹のアカゲザルを用い、側脳室内投与による効果を検討した。実験は、恒温、恒湿、明暗12時問ずつのライトサイクルに条件設定した実験室内に、拘束の少ないモンキーチェアーにサルを座らせて行った.PGD2の投与は、側脳室内に慢性留置したカニューレを通して、ll:00-17:00の明期に6時澗の達続投与を行い、睡眠量は脳波、眼電図、筋電図及び行動の連続記録より測定した。その結果、PGD2の0.15-2.25nmol/3ul/minの投与によって睡眠量は用量依存的に増加し、2.25nmol/minの注入時間中、人工脳脊髄液(Krebs-hensleit solutions)の注入時開中の総睡眠量75min/6hrが4倍の280min/6hrとなり、注入後の概日リズムにも変調をきたさなかった.また、PGD2により、誘発された睡眠に脳波及び行勤上、自発性の睡眠と差はみられなかった.これらは、PGD2が霊長類においても、睡眠調節物質として働いている可能性を示峻している。