第17回味と匂のシンポジウム1983.

コイ嗅球僧帽細胞の形態−細胞内HRP法による解析−

藤田一郎、佐藤真彦、上田一夫
(東京大学理学部動物学教室)

コイ(体長約30cm)の嗅球(直径2.5-3.0o)において、電気生理学的に同定した僧帽細胞に、西洋ワサビ過酸化酵素(HRP)を注入し、その形態を光学顕微鏡を用いて観察した。細胞体は、卵円形・錘体・だ円体・紡錘体の様々な形をしていた。その長径は13-58μm、短径は8-23μmであった。細胞体から、2-5本の太い樹状突起が生じていた。それらのほとんどは複雑に枝分かれしながら、嗅球の表層にむかい、glomeru1ar tuftを形成していた。樹状突起野は、細胞体から半径160-385μmのひろがりを持っていた。嗅球外側部の僧帽細胞の樹状突起野は嗅球外側部に限局しており、一方、嗅球内側部の僧帽細胞の樹状突起野は嗅球内側都に限局していた。軸索は、細胞体または太い樹状突起から発し、尾側へ走行していた。魚類の僧帽細胞では、軸索側枝の存在はこれまで軸告されていないが、今回、5例の僧帽細胞で軸索側枝が観察された。上記の形態学的特徴は、軸索側枝の存在を除けば、ゴルジ染色法を用いた解剖学的研究で得られたものとよく一致している。