サル大脳皮質V1野およびV4野の機能構築: 2光子カルシウムイメージング法による解析

演者 藤田一郎 (大阪大学大学院生命機能研究科)

概要

「異なる特徴選択性を持つ神経細胞が、一つの皮質領野内でどう配置されているか」の理解は、その領域の機能的神経回路やそこで行われている情報処理の解明にとって重要なてがかりを与える。 近年、哺乳類インビボ標本への適用が可能となった2光子Ca2+イメージング法は、単一細胞レベルの空間解像度と活動電位列を反映できる時間解像度の両方を持ち合わせており、この問題の探究に新しい展開をもたらしうる。 本講演では、この手法をサルの大脳皮質視覚野に適用した私たちの最近の研究から2つの話題(V1野とV4野の機能構築)を紹介する。

 V1野の実験では、矩形波グレーティングを刺激として動物に提示し、個々の細胞について最適方位と方位選択性のバンド幅を決定した。 皮質局所における細胞集団の最適方位の多様度と個々の細胞の方位選択性の鋭さの間には明瞭な負の相関があり、計測領域に含まれる細胞の最適方位が均一である領域に比べ、最適方位が多様な(不均一な)領域においては方位選択性が低かった。 この結果はV1局所の細胞間の相互作用が、方位選択性に関して非特異的に行われていることを示唆する(Ikezoe et al., submitted)。

 V4野の実験においては、視覚刺激として自然動画を提示した。 30分の自然動画刺激に対する反応から、その細胞の反応を近似記述できる符号化モデルを作成し、モデルの妥当性は、モデル生成には利用しなかったビデオ30分への反応を予測できるかどうかで行った。 予測性能は高くないものの、ほとんどの細胞について有意なモデルの作成が可能であった。 こうして作成した個々のモデルに仮想サイン波グレーティングを入力として与え、その反応に基づいて個々の細胞の最適方位と最適空間周波数を推定し、皮質上での選択性の分布を調べたところ、皮質表面に平行な方向に最適方位および最適空間周波数が規則的に変化する機能地図がV4野内に存在することが示唆された。

藤田一郎

日付: 2013-08-07T15:47+0900

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