生理学研究所研究会 認知神経科学の先端 「注意と意志決定の脳内メカニズム」2007.10.11-12(発表日10.11)

Spatial interaction of local disparity signals in fine depth discrimination revealed by psychophysical reverse correlation.

岡田 貴裕, 土井 隆弘, 藤田 一郎
(大阪大学 生命機能研究科 認知脳科学研究室)

左右網膜像の間のずれ(両眼視差)を検出することで、ヒトは奥行きを知覚できる。奥行き知覚の鋭敏さは、基準となる奥行き面が近傍にあると、大きく向上する。私たちは、局所的に検出された視差が、空間的にどのように比較され、細かい奥行き判断に利用されているのかを、これまで電気生理実験で用いられてきたreverse correlation法を心理物理実験に応用して調べた。被験者は、部分的にノイズ・ドットで置き換えられたランダム・ドット・ステレオグラム(RDS)を観察し、RDSの上下2領域のどちらが手前に見えるか答えた。被験者の正答・不正答は、視差境界付近のノイズの有無とよく相関していた。この相関は、ノイズが視差境界から遠くなるにつれ小さくなった。得られた相関の空間プロファイルを用いてモデルを構築したところ、モデルにとって新規のノイズパターンに対して、被験者の正答率をよく予測できた。これらの結果は、近接した領域間の細かい視差弁別には、視差境界付近の視差情報が、選択的に利用されていることを示唆する。