奥行き知覚における下側頭葉皮質の役割

基礎生物学研究所共同利用研究会

20021220日・21

岡崎国立共同研究機構コンファレンスセンター

  大脳皮質感覚野細胞の反応は同じ刺激条件下でもトライアルごとに変動する。動物の知覚判断もまた弁別閾値近辺では変動する。細胞反応のゆらぎと動物の知覚判断の間の相関は、神経活動と知覚とを結びつける上での重要な証拠の一つである。本研究では、下側頭葉皮質(IT野)の細胞が細かい奥行きの弁別判断に関わるかどうかをこのストラテジーで検討した。左右網膜像のずれ(両眼視差)から、われわれは「輪郭や面の奥行き」と「物体の面構造」を知ることができる。われわれは最近、形・色・模様を処理している側頭葉経路のIT野の細胞が両眼視差に感受性を持つことを見出した。今回、細かい奥行きを弁別する課題遂行中のサルIT野単一神経細胞の反応変動とサルが示す奥行き判断の変動の間に、統計学的に有意な相関が存在することを見出した。この結果は、IT野細胞が、視覚対象物の奥行き方向の精細な位置づけに関わっていることを示唆している。


Back